突如勃発したロシア軍によるウクライナ領への軍事進攻により事実上の戦争状態に突入しました。大国ロシアの常軌を逸した暴挙に全世界が大きく振り回されることになりますが、これに反発したアメリカ・欧州の西側諸国はロシアへのあらゆる制裁措置を講じています。

 

 

それらの制裁措置の中で最も効果的と言われるのが経済政策、とりわけ国際的な情報通信ネットワークであるSWIFT’(スイフト)がロシアの主要銀行を排除するという制裁措置はロシアの経済を崩壊させるレベルの過激な手段であるとのことです。スズキの車をイメージさせるネーミングですが、大国ロシアでも経済危機を招くといわれるSWIFTを含めた連合国の制裁措置の中身とは!?今後のロシア経済にどのくらいのダメージをもたらすのでしょうか?

 

 

 

想定外だった経済制裁!?

 

 

ウクライナ進攻を入念に計画していたロシアにとってアメリカを中心とした西側連合国側による制裁措置はある程度想定していました。案の定、ウクライナに進攻してすぐに人と物の往来、金の流通禁止を主要国が打ち立てる制裁措置を取りました。それでもロシアが強気で進攻を止めなかったのは連合国の制裁措置は想定内の範疇だったからです。

 

 

ロシアは石油の輸出では世界2位、天然ガスでは1位を誇る世界有数の資源大国です。そして小麦は輸出量世界1位をはじめとして穀物類は世界有数の生産高を誇るなど食料自給率は100%を超えます。ですから制裁で他国から締め出しを喰らっても自国で補えることができます。それに輸出が減った分はロシアの心強い援軍である中国がロシアの資源穀物類を取り入れると表明しています。

 

 

資源も食料も他国に融通するくらい困らないロシアですから、多少の制裁など痛くもありません。そこで連合国側はロシアの想定を踏み込んだ追加制裁に乗り出します。

 

 

 

 

連合軍は世界中にあるロシア首脳や公的機関の金融資産資産凍結に乗り出します。制裁を課す国の一つに永世中立国であるスイスまでもが資産凍結に乗り出しました。

 

 

どんな悪人や犯罪者でも資産凍結に踏み込まなかったスイス、ゴルゴ13でも度々名前が出てくるスイス銀行は、顧客の秘密を守ってくれる資産隠しに適した国なのです。その国が資産凍結に動いたということは今回のロシアの所業を許せなかったということなのでしょう。

 

 

そしてロシアを締め上げのための本丸と言われる制裁措置が発動されることになりました。それがSWIFT(スイフト)です。

 

 

SWIFTとは、金融機関同士が資金取引などに関するメッセージを交換するサービスであり国際的な情報通信ネットワークによって提供している組織で、世界200カ国以上、約1万1000の金融機関を結んでおり、決済額は一日当たり約5兆~6兆ドル(約580兆~690兆円)に上ります。

 

SWIFTは金融の世界ネットワークを形成する国際決済インフラであり、排除されると国際送金が事実上できなくなります。ロシアの全銀行を対象に排除する制裁措置ですが、実は大きな副作用を孕んでいるのです。

 

 

 

SWIFT排除による副作用とは

 

 

SWIFT排除を行うことでロシア大手銀はドル決済を封じられることになります。ロシア・ルーブルは世界的信用価値はないので国際取引を行う場合には、ドルやユーロといった基軸通貨やそれに準ずる通貨への交換を一旦行わなければなりません。SWIFTから排除されると、ドルやユーロといった主要通貨と交換できなくなるので国際間での取引ができなくなるのです。

 

 

現にロシア・ルーブルは進攻と同じくして、こうした制裁の影響もあり大きく通貨が下落しました。僅か一週間程で驚く下落ぶりです。侵攻直前で一円に対し、1.4ルーブルでしたが、侵攻後には最安値0.6ルーブルまで下落、僅か5日程で対円で貨幣価値が半分以下にまで暴落したのです。

 

 

通貨安に対処するため為替介入という手段がありますが、SWIFTで外貨準備ができないのでロシア通貨の防衛手段が取れなくなる経済制裁の最終兵器と言われる所以なのです。

 

 

このように効果絶大とも言えるSWIFTですが、大きな副作用を孕んでいるのです。先述したようにロシアは世界有数のエネルギー大国です。これまでロシアから大量に輸入している欧州諸国にとってはエネルギー資源の取引が行えなくなり、逆に欧州をはじめとした連合国側の経済を大きく損ねる危険性があります。

 

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原油など生活に必要な資源が軒並み上昇しており、世界的にインフレが進行している状況からして、ロシアだけでは済まない経済打撃を受けることに繋がります。加えてEU諸国は対ロシアに総額で80兆円ものお金を貸しています。このままだと貸していたお金が回収できず不良債権で焦げ付くことになり、EC諸国は財政破綻、世界的大不況に見舞れる恐れがあります。

 

 

こうした副作用が懸念されることから、当初はロシアのSWIFT排除は行われないのでは?と思われていましたが、それだけロシアに対する全世界の憤りがあらわれた形となったのでしょう。この戦争が収束しない限り制裁措置は終わりませんのでロシアや連合国側にもダメージが伴う諸刃の剣なのです。

 

 

ルーブルの歴史

 

 

実はロシアのウクライナ進攻は8年前の2014年のクリミア併合行われており、この時にもロシアに対し米欧が主導して制裁など幅広い措置を打ち出したことで、ロシア経済は6%下押ししましたが、今回は6%では済みそうもありません。ここでロシアの貨幣ルーブルの歴史について解説します。

 

 

ルーブルという通貨が誕生したのは1547年イワン4世の即位に際して通貨単位として採用されました。世界の中でも歴史のある通貨なのです。

 

 

 

しかしロシアは古代から内戦や外国への軍事干渉などが頻発し、非常に不安定な国内情勢もあり激しいインフレーションに度々見舞われています。旧ロシア末期の1921年11月には1万分の1のデノミネーション(貨幣単位の呼称を、たとえば10分の1とか100分の1とか切り下げて新しい名称にかえること)を、翌1922年10月には100分の1のデノミネーションを実施しました。

 

 

旧ロシアに代わるソビエト連邦が誕生してからも、通貨の価値は諸外国と比べて著しく低く、外貨に対する交換性はありませんでした。そして1991年末にソ連が崩壊すると激しいインフレーションと経済混乱に見舞われ、財政赤字の増大とともにルーブルは減価を続けることになります。1990年代末の世界同時通貨危機では、国の体制が危ぶまれるほどの経済危機に見舞われることになりました。

 

 

ところが21世紀になると原油価格の上昇に支えられる形でロシアの国際収支は急速に改善し外貨準備が増大した結果、ルーブル為替相場は安定に向かいます。2005年には対ヨーロッパ連合(EU)取引が増大し、ロシアの経済は発展することになりました。

 

 

ここで1993年以降のルーブルとアメリカ・ドルの為替相場推移をご覧ください。

 

 

上記のグラフから分かるようにルーブルは対アメリカ・ドルで下落の一途を辿っています。1993年時点で均等であったルーブルとドルが、2021年で米ドルに対してルーブルは80倍も下落しています。そして今回のウクライナ進攻で2022年3月5日現在で124倍の下落となりました。

 

 

今回の紛争により国際信用を大きく損ねてしまったことで、歴史上最悪の経済危機に見舞われることは避けられそうもありません。プーチンやその取り巻きの退陣、ロシアの政治体制の刷新がなければ制裁は継続され、ロシアの経済は更に追い込まれていくことになるでしょう。今後の戦局の行方がどのようになるかは分かりませんが、全世界を敵に回したツケは果てしなく大きいものであり。勝っても負けてもロシアにとってイバラの道しかあり得ません。

 

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投稿者

yuuponshow

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