FXや外貨預金を利用する人はここ最近の為替の動きについて敏感になっているでしょうが、そうした金融商品を利用したことない人も2002年以来20年ぶりに1ドルが131円に急落したというニュースがテレビ新聞を賑わせていることもあり、多くの人が円安になっていることを認識していると思われます。

 

 

115円前後だったドル円が僅か2ヶ月では15円も急落したことで、懸念されるのが食料品や生活用品、そしてエネルギー資源の上昇ですが、この為替相場が続く、もしくは更に円安が進めば間違いなく価格に上乗せされることになり、我々の生活に支障が出てくることは避けられません。それに今の130円のレートは実質実効為替レートに置き換えると記録的な円安になります。

 

参考:今は円高?円安?実質実効為替レートから見る為替の適正価格

 

半年前の記事で取り上げましたが、為替相場を実行実質為替相場に置き換えると今から50年前の1970年代のドル円360円時代に逆行する史上空前の円安となっていました。あれから15円も円安が進行しているので、史上空前の円安が更に進行しているのです。

 

 

円安が進行していくことで社会生活が危ぶまれますが、それを食い止める手段として挙げられるのが為替介入です。かつては頻繁に行われていた為替介入ですが、民主党政権時代の2011年を最後に行われていません。政治家や財務省幹部から円安けん制のために介入を匂わせるコメントが出ていますが果たして今年為替介入が実行されるのでしょうか?また実行したことで行き過ぎた相場を是正できるのでしょうか?

 

 

為替介入の仕組み

為替介入(正式名称:外国為替平衡操作)は、通貨当局が自国通貨の為替相場の急激な変動を抑え、安定させるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことです。目的としては為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです。

 

日本で為替介入を行う場合は財務大臣の権限において実施されます。財務大臣から介入実施の報告を受けた財務省は、日本銀行に対し為替介入実行の具体的指示を行い財務大臣の代理人として、その指示に基づいて日本銀行が為替介入の実務を遂行します。

 

為替介入は通貨間の売買であるため、その遂行には円やドルなどの資金が必要になります。日本では財務省所管の外国為替資金特別会計(外為特会)の資金が為替介入に使われます。

 

例えば、急激な円高に対応する場合には、外国為替市場で円を売ってドルを買う「ドル買い・円売り介入」を行い、政府短期証券を発行することによって円資金を調達し、これを売却してドルを買い入れます。反対に、急激な円安に対応する場合には、外国為替市場でドルを売って円を買う「ドル売り・円買い介入」を行い、外為特会の保有するドル資金を売却して、円を買い入れることになります。

 

 

為替介入は2つの種類があり、一つの国・地域が単独で実施する場合を単独介入と、複数の国・地域の通貨当局が協議して同時または連続的に為替介入を行う協調介入があります。協調介入は単独よりも実施頻度が少なく、阪神淡路大震災直後や 9.・11アメリカ同時多発テロや東日本大震災後などで実施されており、有事の際の為替変動において実施されることが多いです。

 

 

日本で為替介入が最後に行われたのが2011(平成23)年10月から11月にかけてです。

 

 

当時は1ドル75円まで円高が進み、東日本大震災の影響もあり、この年だけで計8回の為替介入が実施されています。

 

 

1998年の円安介入

円高介入に比べて、ドル売り・円買いの円安介入は実施頻度は少なく1998(平成10)年を最後に四半世紀近くも行われていません。円安介入が行われたこの時代いったいどのようなことがあったのでしょうか?

 

 

1998年の出来事と言えば、長野オリンピック、FIFAワールドカップで日本が初出場、フランスが初優勝、高校野球では松阪大輔率いる横浜高校の春夏連覇といったようにスポーツ会が大いに盛り上がった年でした。政治では橋本龍太郎内閣から小渕恵三内閣に代わった年で、ニュースではXJAPANのhideが亡くなり、和歌山毒入りカレー殺人事件などがありました。

 

 

また前年に山一證券や北海道拓殖銀行が破綻し、この年には日本長期信用銀行が破綻するなど大手金融機関の倒産が相次ぎました。前年のアジア通貨危機や消費税増税といった影響もあり景気は思わしくありませんでした。

 

 

この1998年の為替を見ると円安が進んで最高で一ドル147円にまで進んでいました。バブル崩壊で円高が進んで、1995年の阪神淡路大震災後につけた79円をピークに再び円安に転じていったのです。僅か3年で70円近くも円安が進んだことになるので、今からすれば想像を絶しますね。もっとも当時は外貨預金をやる人は少ないですし、FXもありませんでしたから為替については大きく取り上げられることはありませんでしたが。

 

 

この年に行われた為替介入は4月9、10日と6月17日の計3回です。こうしてみると昔は頻繁に為替介入していたのですね!

 

 

4月は直近で一ドル135円前後の時に実施し、それで一旦129円まで下がりましたが、すぐに盛り返され、更に円安が加速していき、6月には140円を突破しました。そして147円の最安値をつけた直後に介入実施しました。この時はアメリカとの協調介入が行われ、介入額も大きかったことから7円もの円高となり136円まで押し下げることに成功しました。計3回に及んだこの年の為替介入総額は3兆470億円でした。

 

 

ところが夏場にかけて、為替は再び140円台中盤まで急伸してしまいます。円安介入しても止められない円安になすすべなしの状況でしたが、秋以降為替は円高に転換し、年末には115円くらいで落ち着きました。原因は相場を動かしていた機関投資家が一斉にポジション調整し円安からの転換を図ったことによるものと言われていますが、政権が変わったことも要因とも言えるでしょう。それまでの橋本政権の財政再建から景気対策を優先すべきとして、それまでの財政構造改革法を凍結させ金融再生法を作成したことも行き過ぎた円安トレンドを転換させる一因となったのかも知れません。

 

 

1998年の為替相場で注目するのが、10月5日から12日までのレートです。この期間で135円が115円まで円が急騰し、僅か一週間で20円もの円高となっています!!この時には為替介入していないのに、ここ最近のドル円下落なんか霞んでしまう大変動相場だったのですね。

 

 

トレンド転換には至らず限定的な為替介入の効果

先述したとおり、98年の為替介入では直後に円安解消になった訳ですが、いずれもすぐに円安になっています。円安介入は円高介入よりも難しいと言われており、たとえ外国との協調介入でもその効果は限定的になるようです。

 

 

行き過ぎた変動相場を是正するというのが介入の目的ですが、トレンドに逆らったところで国と国との政策の違いもあるので、素直に是正とはならないところがあるようです。本来ならば通貨を安くする高くする政策を国が行えば良いのであって、つけ刃的な為替介入したところでトレンドを変えることは難しいと言えるでしょう。

 

 

とは言え、為替介入が実施されることで加熱する市場へ向けた一応のけん制にはなりますし、行き過ぎた為替相場のスピードを抑える役目はあります。前回の円安介入が130円を超えたとことで実施されたので今年実施される可能性はありますが、果たして11年ぶりの為替介入はあるのか?金融界での一大イベントになりますし、是非とも見てみたいなとは思います。

著者

yuuponshow

こんにちは、このサイト編集者のyuuponshowと申します。私たちが生まれてから死ぬまで決して欠かすことのできない「お金」。人間が生きる上でとても大切なものですからお金に執着する人って凄く多いと思います。このブログはお金を稼がせるといった怪しい情報商材などの勧誘ではなく、あらゆる角度からお金について探求するものです。難しい話でならないよう分かりやすく、たまにマニアックな話題も混ぜながらみんなの大好きなお金を語っていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です