ジンバブエ・ドルと言えば100兆という法外で桁違いの単価の紙幣が登場して注目を集めた通貨です。ジンバブエの経済崩壊により2015年にこの通貨は廃止となったのですが、廃止直前のジンバブエ・ドルの為替レートは1米ドル(103円)で3京5000兆ジンバブエ・ドルだったそうです。

 

 

日本ではまったくと言っていい程、なじみのない国と通貨なのですが、この桁違いの単価がネタ扱いされることもあり何かと話題になりました。

1000億ドルでたまご3個しか買えないジンバブエ・ドルが、どのようにして誕生したのか?なぜ100兆などというハイパーインフレに陥ったのか?といった感じで曰くつきの貨幣を検証していきたいと思います。

 

 

 

ジンバブエの経済と景気

 

 

ジンバブエはアフリカ大陸の南側に位置しており、面積は日本よりもやや大きく高原が多い温暖な共和制国家で、首都はハラレ。長らくイギリスの植民地でしたが、1980年にジンバブエ共和国として独立し現在に至ります。

 

ジンバブエの首都・ハラレ

 

独立直後のジンバブエの経済は小麦などの農業を中心に発展していきます。石炭や金、ニッケル、銅、鉄鉱石、バナジウム、プラチナ、リチウムといった鉱業物や資源も豊富で、貧困層の多いアフリカ大陸の中でもまずまずの経済発展を果たしており、GDPも順調に伸びていました。

 

 

またアフリカの大河・ザンベジ川から流れ落ちるビクトリアの滝は、世界最大級の水量を誇るジンバブエ随一の観光名所です。ナイアガラの滝、イグアスの滝と並び、世界三大瀑布の一つに数えられる世界自然遺産です。その姿を一目見ようと、隣国をはじめヨーロッパ、アメリカ、さらにははるばる日本から観光客が押し寄せるほどアメリカ大陸最大の観光名所となっています。

 

 

産業も観光も魅力ある国であったジンバブエの情勢が変わったのが2000年の時でした。

 

 

ハイパーインフレとなった要因

 

 

2000年、時の政権を担っていたロバート・ムガベ大統領が打ち出した経済政策が白人農場の強制収用でした。白人に対する不寛容な政策は白人優位の資本体系を変えるための政府の肝いりの政策として黒人の多かったジンバブエでは高い支持を集めたのです。

 


しかしこの政策により暴徒を恐れた白人の地主は国外へ逃げる者が続出しました。黒人は農地を取り返したものの農業のノウハウについて知識がないので、それ以来ジンバブエの農業生産性は大きく低下し、食料が不足するようになったのです。主産業の農業が停滞したことでそれまで比較的安定していたジンバブエの経済はたちまち崩壊し、却って貧富の格差が拡大することになりました。

 

 

更に輪をかけたのが、2007年6月に出された価格統制令でした。これは、インフレ対策として、政府が「ほぼ全ての製品・サービスの価格を強制的に半額にする」というものですが、経済の基本を完全に無視したやり方なので、企業(メーカー、小売店)は利益が出る訳がありません。そのため企業は横暴な政府の政策に反発する形で店頭にある品物を一斉に引き上げ、店頭は商品棚がガラガラの状態となるのでした。

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それでも政府はそのような商品の保管も違法として、販売業者を追い込むことになるのですが、そうなれば企業は製品を製造したり仕入れることもできません。結局、倒産企業が続発し、ジンバブエの経済はさらに混乱、インフレは歯止めが効かなくなりました。

 

 

それに加えて労働者からの賃上げ要求に応じたり、選挙費用を捻出するために、通貨のジンバブエ・ドルを無節操に大盤振舞に発行したのです。

 

 

インフレーション率は16万5000%、失業率は80%にも上がり、犯罪の増加やコレラ・エイズの蔓延なども重なり社会不安が広がります。欧米の経済制裁も受けて外貨不足になり、インフレ率が年2億%以上という異常事態に陥りました。

 

 

こうすればハイパーインフレーションになるという良い見本のようなことをジンバブエ政権がやり続けたことで実証した訳です。すべての元凶はジンバブエ政府であり、ムガベ政権であり、政治による誤った政策が自国を陥れてしまったのです。物価高騰ハイパーインフレに陥ったジンバブエ・ドルは遂に100兆ジンバブエ・ドルという物凄い額面紙幣が発行されることとなりました。

 

100兆ジンバブエ・ドル紙幣

 

市場価値は無くなったがコレクター間で人気に!

 

 

2009年からジンバブエは「多外貨システム」を導入し、米ドル、ユーロ、ポンド、南アフリカランドといった外貨のみになり、信用的価値の無くなったジンバブエ・ドルは国内では使用できなくなりました。ジンバブエ・ドルの下12桁の通貨単位を切り下げるデノミネーションなども実施しましたが、流通には至らず国内での流通通貨が外貨のみとなったのです。しかし国内経済は引き続きどん底状態であることには変わりません。

 

 

100兆ジンバブエ・ドルも流通していたのは短期間でしたので紙幣もそれほど多く流通されていないはずです。その影響からか消滅して10年以上経過した100兆ジンバブエ・ドルの価値は市場で大きく値があがっています。

 

時が過ぎてジンバブエ・ドルの価値が見直されたのでしょうか?(笑) 冗談はともかく2015年ジンバブエ・ドル廃止に伴った当時の為替レートで100兆ジンバブエドル=0.3円だったものが2万円とは、所有してて良かったですね。

 

 

市場価値がなくなってもこの前代未聞の額面紙幣の物珍しさからプレミアがつきコレクター間で人気が高まったようです。私も記念に所有してみたいですが、2万円はちょっと高いですね(汗)

 

 

現在のジンバブエは新貨幣のRTGSドルに移行したばかりですが、国内経済は悪く高いインフレに悩まされている状況です。悪政のつけの代償はとてつもなく大きく、崩壊の道を辿りなねないジンバブエですが何とか立ち直って貰いたいものです。

 

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投稿者

yuuponshow

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