子供からお年寄りまでみんな大好きカレーライス。少なくとも私の周りで嫌いという人に知り合ったことありません。そのくらい広く大衆に愛されるメニューではないでしょうか?私はレトルトも良く食べますが、ルーを溶かしてジャガイモや玉ねぎ、ニンジン、肉(カレーには豚肉が一番!)がごろごろ入った手作りカレーがやっぱり最高ですね。
現在では当たり前に食されているカレーライスですが、日本でのカレーを食べられ始めたのは明治時代からで、大衆食として根付いたのが100年以上前の大正時代になってからと言われています。この当時のカレーの食文化は現在と比べてどうだったのか?、高級食だったのか大衆食だったのか?カレーライスの歴史と共に検証していきたいと思います。
カレーライスはいつから普及した?
日本にカレーライスが伝わったのは明治初期頃で、インドではなくイギリスから伝わりました。カレーと言えばインドのイメージがありますが、インドはカレーライスという料理はなく香辛料を多用するインド料理をカレーと呼んでいたのです。当時植民地支配していたイギリス人が小麦粉を加えたとろみのあるカレーを米飯(ライス)の上に掛けるアレンジによって作り上げたのがカレーライスなのです。
伝来してすぐにカレーレシピが文献で紹介されることで広く浸透したカレーライスですが、明治期のカレー具材は現在とはかなり違ったものでした。
こんばんは。
— 宇喜多八郎 (@zaRtPYyr9JINDPe) July 16, 2021
カレーライスを食べたんじゃ。
カレーが日本に伝わったのは明治の頃で、その時のレシピがポークとかじゃなく、なんとカエルだったそうじゃ🐸
肉食が普及していなかったからかな😅
日本最古のカレーはカエル肉の入った「カエルカレー」 – GIGAZINE https://t.co/7XqzdRenzC pic.twitter.com/FgguHoAQRn
明治時代のレシピでも紹介されていますが、何とカレーの具材にカエルの肉が使われていたそうです。当時は牛、豚、鳥肉を食べる習慣がなく、蛙肉がレシピとして採用されたのですが、味、食感共に鶏肉に近く、臭みもなくあっさりとして美味しかったそうですから、カレーのルーに合ったようです。明治期に推奨された蛙肉のカレーライス、ちょっと食べてみたい気もしますね。
大正時代になり牛や豚といった肉がレシピに加わり、現在に近いカレーライスが食されるようになります。同時にカレーパンやカレーうどん、カレー南蛮といったメニューが誕生するなどカレー文化は明治期から大正にかけて広く根付いていくことになりました。
洋食ブームから人気となったカレーライス
カレーライスが国内に浸透したきっかけが、国産カレー粉が登場した1905(明治38)年からだと言われています。これによりそれまで高価で手に入りにくかったカレー粉が比較的手に入りやすくなります。
洋食ブームもあり大正時代には大衆食事として定着するカレーライスですが、当時のお値段を検証してみましょう。お肉や野菜も比較的入手しやすくなり、国産のカレー粉が発売されるなどの背景もあり、お手ごろな価格だったようです。
らっきょう漬や紅生姜ですが、戦前はやや高級なカレーにのみつく薬味だという印象があります。その例が、資生堂パーラーのカレーです。
— 近代食文化研究会@新刊『串かつの戦前史』発売中 (@ksk18681912) May 26, 2018
銀座資生堂は、昭和3年からカレーを提供し始めました。その価格は50銭。一般的な百貨店食堂のカレー20、30銭より高めの値段設定でした。 pic.twitter.com/2DAnl5AXEa
昭和3年の50銭は現在の貨幣価値に換算すると2000円前後となります。高級レストランのメニューながら一般人でも比較的手の届く価格であったことから分かるように、この時代のカレーライスは庶民の食べ物として定着していたようですね。
百貨店のような大衆レストランでも当然ながらカレーライスは大人気!目玉メニューは勿論カレーライスでした。80年も前から子供も大人も大好きな食べものでした。
戦前のカレーレシピ
昭和初期には各食品メーカーが続々カレー粉を販売したことで、どの家庭でも献立にカレーライスが提供されるようになりました。
1箱40銭(現在の価格で1600円)とやや高めの価格でしたが、1箱で20皿分のカレーライスが作れたので「一皿タッタ二銭(現在の価格で80円)」と宣伝していました。
当時は固形のルーはありませんでした(固形ルーの登場は1950(昭和25)年)ので、粉からカレールウを作らなければなりませんでした。価格は手間暇を考えれば今よりも大変でしたが、本格的でオリジナルのカレールーを作るのであれば断然粉から作るべきですよね。
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戦前の家庭向けカレーレシピがこちらのサイトで紹介されています。
業務用カレールウ専門店 杉本商店 (URL)
材料3人分
- 軽便カレー粉┅50g
- 白飯┅3人分
- かつお出汁┅500㏄
- 牛肉┅100g
- じゃがいも┅50g
- たまねぎ┅50g
- にんじん┅50g
- 砂糖┅13g
- 塩┅15g
- 濃口醤油┅小さじ2
- 牛脂┅20g
準備
- 牛肉は食べやすい大きさに、玉ねぎはくし型切り、人参とジャガイモは乱切りにして下さい
- 水150㏄に軽便カレー粉50gを入れて、つぶが無くなるまで良く溶き合わせて下さい
調理
- 熱した鍋に牛脂を溶かして【準備①】の牛肉、玉ねぎ、じゃがいも、にんじんを入れて炒めて下さい
- 出汁500㏄を加えて、一煮立ちさせてからあくを取り、砂糖、塩、濃口醤油で味付けをしてください
- にんじんがやわらかくなったら、火を止めて【準備②】のカレーを混ぜながら加えて溶き合わせます
- 完全に溶けたら火を付けて、混ぜながら煮立たせて下さい、少し煮込んでとろみが付いたら完成です
当時はネットもスマホもありませんが、こうしたレシピ本があれば十分でした。和食中心の戦前の家庭献立にカレーライスが出てきたら大変喜ばれたでしょう。昔から決して高級食でもなく一般家庭でも食されたカレーライスは100年経った現在においても家庭食として愛されるのでした。
ということで戦争前のカレーライスについて紹介していきました。基本的に今とあまり変わらないレシピなので拍子抜けしそうですが、逆に100年も前のレシピが今も変わらず続いているというのは永く愛され続けている証なのかなと感じます。
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