金融機関で販売されている定期預金とは、預け替えから一定期間お金を引き出せない預金のことで普通預金よりも高い金利が設定されています。預入期間が長ければ長いほど金利が高くなる優遇策も取られているのですが、現在は超低金利なのでこうした長期金利に預け入れるメリットはありません。

金利の高い頃は、定期預金は人気が高く将来の資産形成のためにと運用する方が多かったものです。バブル時代なんか6%前後の金利ですから10年置いとけば元金が倍以上になりましたから凄い時代ですよね。

定期預金は現在の日本において最長で10年、ネット銀行では15年のものもありますが、実ははるか昔の明治・大正期には100年定期貯金という驚くべき超長期定期預金があったのです。

100年定期の運用目的

大正四年に発行された新潟貯蓄銀行(現:第四銀行)の100年定期預金の貯金証書が上のものです。証書には大正天皇の即位礼記念と記載されておりそれを記念して募集されたものです。

募集開始は1915年(大正4年)
・ 満期は100年後の2015年
・ 利率は年利6%の複利

利率も良く、額面1円だと100年後の2015年には339倍の339円になる計算です。当時の1円は現在の価値に置き換えると3500円くらいになるので、満期時の339円は当時の庶民の年収分くらいの資産形成になると試算を出していたと思われます。

しかし預金者が100年定期を満期時に受け取るなどほぼ不可能です。大正初期の平均寿命は男女ともに44~45歳なので、預金者はおろか子供ですら受取る前に死んでしまうと考えるのが普通です。100年定期は孫・ひ孫、更にその下にあたる世代への相続財産譲渡と捉えるのが正しいのではないでしょうか?話すことが叶わない子孫のためにご先祖様からの贈り物と考えると夢があってロマンチックですね。

戦争による大インフレで紙屑同然に

ところがこの100年もの間に戦争などの影響で超インフレとなり、貨幣価値は大きく下落することとなりました。満期を迎えた2015年(平成27年)に定期預金を販売していた第四銀行を取材した日本経済新聞の100年定期貯金の記事が紹介されています。

解約手続きすれば額面金額と利息を合わせた金額を受け取れるとのことで、所有している子孫の方が何人か問い合わせしたそうですが結局誰も支払い手続きされることはなかったそうです。

紙屑同然となってしまった額面一円の100年定期証書ですが、このまま解約するよりも歴史的資料として保管しておくか、資料館に寄贈してあげるのも良いかも知れません。もしかしたらネットを通じて高値で取引されるかも!こんな珍しいものですから価値はあるかも知れません。

インフレ対策としての資産形成

100年のような超長期金融商品はインフレリスクがとてつもなく高いということがお分かりいただけたと思います。いくら金利が高かろうがずっと預けっぱなしではだめ、柔軟に預け替えするなどしておくことが望ましいです。

あるいは現物資産として所有する手もあります。例えば当時流通していた貨幣は現在において相当な高額の価値となります。

           参考URL 古銭買取価格表

明治・大正期に発行されていた通貨や紙幣(未使用ならばなお良し)で保管しておくことで何十万、何百万単位の価値になることも。当時の貨幣は当然ですが両替すれば誰でも手に入りますからそれをタンス預金にしておけば良いだけです。

投資商品としては金も考えられますが、希少性の観点から見れば供給され続けるものなので100年のインフレに負けてしまうことになり、希少性のある貨幣に比べてそれ程の価値は生み出しません。参考ですが金の1gの価格は 大正4年は 1円36銭、 令和2年5月は 6700円となります。 コロナの影響で高騰している金ですが、金で所有すると多少価値は上がるものの100年置いておくことを考えれば旨味は感じません。

もし今100年定期預金が販売されたら買ってみたいと思いますか?記念にと小口でなら買うかも知れませんが・・・しかし資産形成にもならないことは先述した通り、金利も絶望的に低いのでどう考えても流行らなそうですね (^_^;)

 

投稿者

yuuponshow

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