今年もプロ野球・ドラフト会議が無事行われまして多くの選手がプロ野球に入団することになりました。ドラフトの翌日の新聞紙面で指名された選手が一挙掲載されていたので、私の地元・鹿児島関係の選手はいないのか探してみると神村学園の桑原 秀侍投手がソフトバンクに指名されました。おー、やったー!と指名された記事をよく見ると、順位は育成3位指名でした・・育成枠ということは将来性を買われての指名されたのかなと思いつつ、現時点での評価は低いのかなと感じました。
育成枠について、あまりご存じでない方も多いのではないかと思います。そう言う私も詳しくは知りません。昔あったドラフト外みたいなものかなと思ったりしたのですが、まったく違うようです。この機会に育成枠についてお金のはなしを絡めながら検証していきたいと思います。
育成枠が導入された目的
育成枠導入の目的は、選手の育成を目標として選手登録枠を拡大するというものです。プロ野球には、各球団70人という保有枠があって、保有枠内の選手と契約することができます。つまり正式な選手登録で契約されてはいない身分となる訳です。
ただ球団側としては、支配下選手登録にとどまらず選手を抱えることで、将来性のある選手をたくさん入団させることができます。またケガで長期離脱を余儀なくされる主力選手の調整に充てることができるのです。
野球界全体からしても有力選手の指名漏れもなくなりますし、選手を育てるための大枠が広がりプロの垣根が低くなるので野球選手の増加が見込めます。社会人野球の廃部などもあり、野球選手の裾野の狭まりと、野球人口の減少に歯止めをかける対策としての観点もあるのです。
育成枠が導入されたのは2005(平成17)年からです。この年はドラフト会議の改革が行われて高校生と大学・社会人は日にちをずらして開催されました。育成枠は急遽導入が決定したこともあり育成枠のドラフトは12月に開催となり、この年は3回に分けてのドラフト開催となったのです。
育成枠は枠がないので一球団で何人も獲得できます。今年の育成ドラフトでは巨人が10人以上獲得しているように、プロへの裾野が広がることが期待できます。
育成選手の待遇と制約
育成選手は正規指名選手と同じように、球団と契約交渉を行い入団することになります。しかし契約金はありません。ただし支度金の名目で一人あたり300万円支給されるようです。支配下選手登録された際には改めて契約金が支給されることになります。
年俸は最低保証で240万円ですから、月収にすると20万円です。年齢によっては多少の上積みもあるでしょうが、高校卒だと最低ラインが目途となります。この金額を見ると、期待値もなくあくまで雇われているだけと認識した方が良いですね。そこから経費、税金が引かれて手取りは15~16万円くらいになることが推測されます。ただし彼らは球団の寮に入ることができるので寮費は引かれても住居費、食費は大きな負担とはなりません。
それでも遊ぶほどの経済的自由はありませんからひたすら練習するしかない環境に身を置いているということになります。また用具は基本的にボール、ユニフォーム以外は自己負担です。
試合は二軍戦とオープン戦のみの出場に限定されます。またこれらの試合に出場できても一チーム最大5人までと制限されています。若手主体のゲームでも育成選手は試合に出るチャンスが限られてしまうのです。
そして最もシビアなのが、育成選手として登録される期間は3年間なのです!つまり3年間で結果を出さなければ解雇となってしまうのです。70人の支配下枠に入ること、すなわち上の選手を引きずり下ろす結果を出さなければならないので食うか食われるか厳しい社会であると言えますね。
このように育成選手は支配下選手と違い、かなりシビアな制約を受けることになります。
育成選手で指名されたら?
先述したように給料も少なく、結果を出すまで3年しかありませんので、果たして育成枠で指名されて入団すべきなのか?非常に難しい選択となります。社会人だと所属する企業を辞めることになるので、収入が下がり生活も不安定になります。大学生も社会人野球からの誘いもあるでしょうし、大学卒業をきっかけに自分の実力を見極めた上で別の進路を選ぶこともあるでしょう。
高校生でも大学や社会人からの誘いがあれば・・・これは私がその立場だったら育成はパスするかもですね。大学や社会人なら野球でダメになっても大学ならば学歴、社会人なら安定した給料と社会的地位が得られます。人生のキャリアという点においてもこちらへの進路を選ぶ方が後々役に立ちますし、どうしても躊躇しちゃいそうです。
その点、独立リーグの選手ならば、現状より待遇が良くなるし、順位や待遇など関係ないから育成枠も視野に入れてプロを目指している人も多いでしょう。このように同じプロへの道を志すも、待遇面や環境面での違いがあれば、育成枠を受け入れるか否か変わってくると思います。
しかし育成枠だと指名を断る選手もいるように、どうしても自分の評価が低いと感じてしまうのは仕方がありません。
それでも巨人の山口鉄也投手やソフトバンクの千賀滉大投手、甲斐 拓也捕手など育成枠から一軍の選手として大活躍している選手もたくさん出ていることから、育成枠は単に一軍選手にとどまらず、日本や世界で活躍する一流選手の登竜門と呼ばれることもあります。正規指名選手に比べて待遇は劣りますが、それが反骨精神となり糧となり、向上心旺盛だし、根性だって負けない、これが育成枠出身の強みでしょうね。
さて今年指名された育成枠選手の中から大成する一流選手が出てくるのでしょうか?出てきてほしいですね。そういう選手の方が肩入れして応援したくなりますからね。
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