国民に年に一度(誕生月)届けられる「ねんきん定期便」、将来自分がいくら年金を受け取れるのかが記載されているので誰しも目を通すと思われます。しかしこのねんきん定期便は将来の受取額だけでなく、ご自身の年金情報を詳らかに記載されています。
そこで今回はねんきん定期便の正しい見方をわかりやすく解説していきたいと思います。また、ねんきん定期が送られるようになった経緯など、ねんきん定期便の全容を紹介していきたいと思います。
ねんきん定期便の送付目的
年金記録を通知する契機となったのは、2007(平成19)年の「年金記録問題」です。基礎年金番号導入時に記録の統合ができず、年金番号に結びつかない古い記録が残っていたことでした。年金記録は1986(昭和61)年にオンラインによる記録の一元化がされるまで紙の台帳で管理されていました。また1997(平成9)年に基礎年金番号が統合されることになりました。これらの制度改正から記録が漏れた人が多数出て、約5000万件もの持ち主不明の年金記録が明らかとなり社会問題となりました。
ねんきん定期便はこの年金記録問題に対する取り組みの一環で、加入者自身に年金記録を確認してもらい、正しい年金記録の回復を目指す目的でスタートした制度です。加入者からすれば自分がこれまで支払った年金保険料の記録と照合できるし、将来受け取る年金額も分かるメリットがあります。
ねんきん定期便でわかること
ねんきん定期便に記載されているのは、直近1年間(節目の年齢では全期間)の国民年金・厚生年金の加入状況や累計年金保険料納付額、納付実績に基づく年金支給見込額等です。これにより、年金保険料の納付状況や将来受け取れる年金の目安金額がわかります。
では、ここで送られてくるねんきん定期便の見本をご覧ください。
ご覧のように50歳未満と50歳以上でハガキの様式が変わってきます。自身の年金記録が細かく記録されていますが、特に赤枠で示しているところは、しっかりと把握しておく必要があります。
将来、老齢年金を受け取るためには、保険料を納めた期間と免除された期間を合算して10年以上必要です。年金を納めている期間が短くなると受け取れる老齢年金の金額に影響があるので、未加入期間(未納期間)が発生していないかを必ず確認しておきましょう。
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50歳未満はこれまでの加入期間に基づいた年金額が記載されています。今後納めていく分まで加算されているわけではないため、基本的に実際の給付額より少ない金額が記載されていることになります。
50歳以上は基礎年金の場合は、年金加入状態を60歳まで継続した場合の見込み額が記載されています。つまり、実際の受け取り額に近い年金額を確認することができます。厚生年金の加入者は、今後の収入次第で見込み額が変化していくので毎年変わっていくことになります。
またパソコンやスマートフォンからいつでも最新の年金記録を確認できる「ねんきんネット」も利用できます。年金受取開始の年齢を「繰り上げ」「繰り下げ」した場合など、さまざまな条件に応じた試算もできるので便利です。
詳しい内容を知りたいときは封書で確認
毎年誕生月に送付されるねんきん定期便のハガキですが、実は人生の節目の年にねんきん定期便の封書バージョンが送付されることをご存じでしょうか?
- オレンジ色・・・年金記録に漏れや誤りのある可能性が高い方
- 水色・・・それ以外の方
35歳、45歳、59歳の3回に送られてくる封書の内容はハガキと大きく異なる内容が異なります。
ハガキはあくまで一年間の納付情報しかありませんが、封書はこれまで年金保険料を納めた全期間の納付期間が記されています。これにより年金が未納になっている月があれば一目瞭然把握できるようになります。
例えば就職、結婚、転職などの節目があったとき国民年金→厚生年金 厚生年金→国民年金といった年金種類の切り替え時に手続き漏れや誤りが起きやすくなります。長い期間収めた年金保険料と漏れがないかを把握しておくことはとっても大事です。こうした漏れを防ぐためにも節目の年には全期間の記録に目を通せることで、しっかりとチェックしておくことができます。
ということで今回ねんきん定期便について解説しましたが、通知書の見方は決して難しいものではないことはお分かりいただけたかと思います。
ちなみ節目の時でなくとも、先述でお伝えしたねんきんネットで全期間の記録を確認できます。未納してないのに未納扱いされていては将来の受取額が減ってしまいますので、一度ねんきんネットで確認されると良いですよ。
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