先日のボクシング世界タイトルマッチで井上尚也が史上初の4冠(WBA・WBC・IBF・WBO)を獲得しましたが、この試合、何故か地上波では放送されませんでした。原因は井上選手の試合の放映権料の高騰にあるとされています。

 

 

2021年6月に米ラスベガスで行われた防衛戦における井上尚弥選手のファイトマネーはおよそ100万ドル(一億円)と言われています。これは他の世界チャンピオンと比較しても破格の金額で、一般的には2〜3千万円、人気選手でも4〜5千万円とされています。

 

 

井上尚弥選手は12月13日現在で21戦無敗、KO勝利率85.71%と世界的な注目度も集まる選手です。井上選手の試合を中継したいという放送局は多くなり、それまで井上選手の試合を放送していたフジテレビも試合権料の高騰が原因で中継を退くことになりました。今回の4冠戦の中継ははdTVとひかりTVが独占生中継とのことで、dTV?地上波しか知らない人もいるでしょうから説明しますが、dTVは有料放送で、月額550円の動画配信サービスです。

 

 

ドコモの配信画像サービスでスマホかパソコンで契約することになります。この試合のためにdTVに加入された方も多いでしょう。スマホやパソコンでの視聴は可能ですが、できれば大画面で視聴したいですよね?中継をテレビで見るにはdTV対応のテレビでしか見ることはできません。今回はdTVでしたが、次戦はどこが放送するかはまだ分かりません。

 

 

また今年のサッカーワールドカップも全試合中継したのはAmebaTVでした。地上波は日本戦は全試合中継できましたが、今後はどうなるか分かりません。世界が注目するドル箱スポーツイベントが地上波で中継できなくなる。そういう時代になってきたのかも知れません。

 

スポンサーリンク

 

今回はかつてのドル箱スポーツイベントであるプロ野球の巨人戦を取り上げます。巨人とは読売ジャイアンツのことなのはご承知のことと思いますが、巨人という呼称が創立時から根強く浸透していることもあり、以下の文中も巨人で統一させていただきます。昭和、そして平成初期の巨人戦は平均視聴率20%を下らないスポーツ中継のドル箱コンテンツでした。若い人にも当時の巨人戦の影響力を分かりやすく解説していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

長島・王V9時代で巨人人気が確立

 

 

日本のプロ野球が創設されたのは昭和9年、アメリカ大リーグの選抜メンバーを日本に招待して日米野球が開催されました。この時の日本代表チームを母体として、読売巨人軍の前身である大日本東京野球倶楽部がつくられることになりました。

 

 

読売巨人軍はプロ野球チーム第1号である一方で、大リーグ選抜チームと対峙するための日本代表チームとして結成された由緒あるチームとして、プロ野球チームが続々誕生してからも特別視される存在でした。創成期のプロ野球を牽引する形で多くの偉大なプレイヤーを輩出し、戦争を経て、プロ野球は国民的イベントとして繁栄することになるのです。そして巨人軍の人気を確立させたのはテレビ中継でした。

 

 

1953(昭和28)年2月にNHKがテレビ開局し、その年から野球中継も開始しました。当時は個人でテレビを所有する世帯など少なく街頭テレビで視聴していた人が殆どでしたが、画面を通じて試合を視ることができるようになり、臨場感がダイレクトに伝わるスポーツ中継、とりわけ野球中継は多くのファンを獲得することとなり、テレビという文化がもたらした功績は大きかったと思います。またその年8月には民放発の日本テレビが開局します。日本テレビの親会社は読売新聞社です。系列会社の関係性からプロ野球中継も巨人戦が優先的に放送されることになります。

 

 

そしてプロ野球人気を確立させる出来事が、長嶋茂雄の巨人入団です。それまでプロ野球より6大学野球の方が人気が高かったのですが、立教大学のスター選手だった長嶋が巨人軍に入団したことで、一気にプロ野球人気が爆発、翌年には一本足打法の王貞治が入団することで王、長嶋のON人気でプロ野球人気が根付いていくのでした。

 

一試合一億円!?巨人戦の試合中継料

 

 

ONによってプロ野球人気が確立されますが、ここでプロ野球の年度別の平均視聴率をご覧ください。

 

 

1965(昭和40)年から2009(平成21)年まで45年間の推移ですが、ご覧のようにスター揃いで無敵を誇っていたV9時代の巨人はそれほど高くはありませんでした。「巨人・大鵬・卵焼き」とメディアで持ち上げられていた割りには意外な感じです。原因として挙げられるのはV9時代は強すぎて、逆に面白くなかったのかも知れません。

 

 

視聴率が最も高かったのはONが引退した後の1983(昭和58)年でしたが、この年はリーグ優勝はしたもののONに肩を並べるスター選手はおらず、全員野球で勝ち得た栄冠と言えるでしょう。更に西武との日本シリーズでの盟主対決で盛り上がりましたし、実際、逆転また逆転の名勝負を繰り広げて、本当にプロ野球が面白かった時代でした。

 

 

視聴率上昇は、スポンサーを呼び込む形で巨人戦は放送時間も30分延長、さらに60分延長といった措置を取るなどドル箱コンテンツと化しました。視聴率が取れるのだから各放送局で巨人戦中継の争奪戦になるのは当然と言えるでしょう。

 

 

 

全盛期の巨人戦の放映権は「1試合=1億円」という相場でした。ということはペナントレースが130試合で年間130億円以上の権利料を獲得することになります。特に家族が揃って視聴するナイターの時間帯は視聴率を稼げるので、他のチームが土・日・祝日を中心にデーゲームを組み入れているのに、巨人戦だけがすべてナイトゲームといういびつな構造ができてしまうことになりました。

 

 

 

潤沢な放映権料で金満体質となった球団の姿勢も問題視されるようになりました。FA制度を利用して他球団の主力選手を毎年のように獲得します。日本人だけでなく外国人にも触手するなどやりたい放題でした。その影響からか主力選手のポジションがかぶってFA獲得選手が慣れないポジションに回されたり、控えに回ったりしたことで人気にモノを言わせた強欲体制は世間から反発を買うことになりました。

 

 

多様化による巨人中心主義の崩壊

 

 

そうしたいびつな構造でしたが、突然終止符が打たれることになります。長嶋二次政権の終焉と松井秀喜のメジャーリーグ移籍で、それまでのテレビ中継にも変化が生じます。それまでホームゲームを独占してきた日本テレビが、NHKや他の民放に中継権を譲渡するようになります。ドル箱コンテンツを手放す原因は言わずもがな視聴率低下です。視聴率を稼げなくなったコンテンツはやがて見放されることとなり、それまで全試合中継していた巨人戦は徐々に中継数を減らしていくことになります。

 

視聴率低下とともに中継数の減少が見事にリンクしています。かつて20%の視聴率を取れていた時代を知ってる者からすれば信じられない凋落ぶりです。現在では地上波で巨人戦が中継されることが珍しくなり、一試合一億円の放映権料も今ではかなり暴落していると聞きますが、そんな時代になったんですね。

 

 

プロ野球チームの中でも特別なチームとして認識されていた読売巨人軍ですが、それまで断トツの人気を誇っていたのが、他球団と比較してもそれほど差はなくなっている状況です。かつては巨人でなければ入団しないと公言していたアマチュアの大物選手もいたくらいでしたが、大リーグで活躍する日本人選手が出てくると巨人が特別視されることもなくなりました。

 

 

プロ野球人気というよりテレビ中継を独占していた巨人戦人気が高かっただけで、パリーグとかそうでしたが、観客ガラガラの閑古鳥状態ということも珍しくなかったのです。そもそも巨人軍だけが特別扱いされていたこれまでが異常だったのかも知れません。今後のプロ野球のためにも特別なチームは必要ありませんし、全チーム平等な状況・環境で競い合っていくことが望ましいと思います。巨人軍はいびつな構造を生み出した昭和プロ野球の名残りのようなものでしょうね。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。よろしければ↓クリックお願いしますm(_ _)m


雑学・豆知識ランキング
投稿者

yuuponshow

こんにちは、このサイト編集者のyuuponshowと申します。私たちが生まれてから死ぬまで決して欠かすことのできない「お金」。人間が生きる上でとても大切なものですからお金に執着する人って凄く多いと思います。このブログはお金を稼がせるといった怪しい情報商材などの勧誘ではなく、あらゆる角度からお金について探求するものです。難しい話でならないよう分かりやすく、たまにマニアックな話題も混ぜながらみんなの大好きなお金を語っていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です