10月になり食品を中心とした物価上昇が大きく報じられています。下の方に値上げした商品の一覧を提示していますが、庶民にとっては痛いですね。
私など喫煙家なので、一気に40円の値上げはホント痛いですよ。以前たばこ関連の記事で書きましたが、たばこは毎年段階的に引き上げているので、もういい加減にしてくれ!!ですよ。これだけではなくあらゆるサービスにおいて値上げラッシュが報じられており、うんざりため息交じりで10月を迎えましたが、庶民のお給料は据え置かれたまま。物価だけ上げて生活を苦しくさせるのが我が国のやり方なのでしょうか?そう言えば以前このようなニュースが取り上げられていました。
今年度「国民負担率」 過去最大の見込み 新型コロナで所得減少 | NHK政治マガジン https://t.co/1MlkxSwsFW
— yuuponshow (@yuuponshow) October 11, 2021
日本人が収入全体から社会保険等を負担する割合が46.1%!、ざっくり言うとお給料から半分近くが没収される割合ですが、これは過去最大の負担率だそうです。よく日本は国の借金が1000兆円などと報じられることがあります。その状況なのだから負担を強いられるのは仕方がないとの声もありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?社会保障も日用品もポンポン値上げされ負担が増すことが本当に日本のためになるのでしょうか?絶対におかしいですよね!?
国民負担率と社会保障還元率
先述したように国民負担率とは税・社会保険料÷所得で求められるもので、今年度の日本の国民負担率は過去最高となっています。
1970(昭和45)年は国民負担率25%で、現在はその倍近く、50年前に比べて国民の負担率は倍増しとなる訳ですが、確かに昔と比べて税金や社会保障の負担が上がったな~と感じています。
しかし世界主要国と比較すると日本よりも国民負担率の高い国があります。
こうしてみると他国と比べれば日本など大したことないと思えます。しかしよく見ると日本の国民負担率の伸び方が他国に比べて急激に伸びています。これは日本が世界で最も高齢化が進んでいることもあり、租税や社会保障の負担が急激に高まっていることを示しているとも言えるでしょう。対する他国ですが、伸び率はさほど変わりません。
フランスやフィンランドなど高負担国家として知られていますが、社会保障を国民に向けきちんと還元している高福祉国家として確立されています。国民の幸福度とは国民負担率よりも私たちが国に収める税金や社会保障費のあるべき使われ方として、いかに国民に還元しているのかを示す社会保障還元率がとても重要なのです。
フランスは平均年収619万子供の学費は幼稚園から大学卒業まで無料。高速道路も無料です。正規雇用が85%、残業無し17時退社。有給休暇5週間全消化、癌になったら国が医療費負担、病院までのタクシー代も請求できます。国民負担率など持ち出す奴はアトキンソンと竹中平蔵
— DMT@子豚隊 (@mirokuroim) June 1, 2021
フィンランド、消費税は24%だが、高いとは感じないなぁ。
— サチエ (@bettybeat) May 18, 2019
家賃は最高で80%補助が出て、学費は無料。 pic.twitter.com/ZWvzLWWRyi
フランスやスウェーデンは社会保障給付がとても充実しています。学校は大学院まで無料、医療費もタダ、老齢年金支給も手厚いので、高齢になってあくせく働く必要もなく、貯金する必要もありません。こういうシステムであれば税金が高くても、社会生活が手厚く保障されていますからお金をばんばん使うことができるし、快く税金を納めることができますね。
社会保障の還元率の低い日本
対する日本は、年金保険などの社会保険料が年々上がるのに、支給額が引き下げられたりするので不安感が拭えません。医療費も老齢者負担が重くなり、学費も年々上昇して、奨学金で借金しないと大学など行くことができません。
加えて給料は上がらず据え置かれたまま、消費税も諸外国のように生活必需品への低税率・無税の軽減負担の恩恵はほぼなく全商品にあまねくこれでは財布の紐はますます堅くなり、消費は落ち込むのは仕方ありません。
世界諸国の国民負担率では日本はまだまだ低いと言われていますが、日本は「社会保障の還元率」が著しく低いのです。諸外国よりも負担は低くても、社会保障が国民に広く還元されていれば国民の幸福度は高くなります。
先進国G7の中では幸福度ランキングで最下位。取るものだけぶんどって、国民に還元してくれなければこのような低いランクになるのは当然ですね。平時でも不満ですが、今まさに直面しているコロナ禍を思い返せばお分かりだと思います。緊急時に全国民に給付金を一人10万円一回と、役に立たないアベノマスク2枚だけでしたからね。
税金が国民にとって有効に使われれば不満など出ないのですが、政治の在り方も含めて日本の今後の在り方を検証していく必要があるでしょう。
誤ったインフレ誘導が物価高を誘引する
国民負担率が上がっている原因の一つとして挙げられるのが、先述したように国内の食品を中心として物価高騰です。これに関連する話なのですが、今から8年前、2013年に日本銀行総裁に就任した黒田春彦氏はインフレターゲット2%を2年で達成するという目標を掲げました。
インフレターゲットは物価上昇率(インフレ率)に一定の数値目標を掲げ(期待インフレ率)、市中に資金を還流させ緩やかなインフレを誘導する金融政策です。
ところが2年が経っても目標達成されないばかりか、現在8年経過しながら目標達成には程遠い状況です。毎年のように食料品を中心に物の値段が上がっているのになぜでしょうか?
インフレターゲットを導入したのは、日本の慢性的なデフレを解消するためです。物の物価が上がっていくことすなわち景気の上昇基調となります。しかしいたずらに物の値段を上げても、消費者がお金を使わなかったら適切なインフレにはなりません。適切なインフレとは需要量が増えるディマンドプルインフレです。対比するのが生産コストの上昇により引き起こされるコストプッシュインフレがあります。
売る側だって売れなきゃ商売にならないから価格を据え置くか下げるしかなく、これではデフレから脱却できる訳がありません。インフレさせるのであれば国民にお金を持たせるための政策が必要で、金融緩和頼りのインフレ誘導策だけでは達成など永遠にできないでしょう。
金融緩和は円安を誘引したことで、ガソリンや輸入品が軒並み高騰することになりました。上で挙げた値上げ商品の小麦原料の食品もその影響をかぶることに、これではますます消費は冷え込むことになるでしょう。
日本は、バブル崩壊以降、賃金は抑えられたまま、加えて賃金や雇用の不安定な非正規雇用の増大、サービス残業等を野放しにしてきました。対して年々増税や社会保険料負担の増大するので可処分所得は下がる一方です。これで消費など上がる訳がありません。
日本のGDPの約6割を占めるのは国内消費であり、消費の源泉は賃金なのです。日本は国内消費を軽んじて賃金下降を野放しにしたことがこの国の低迷の一因です。今回国民負担率について書き綴りましたが、諸外国の例を見ても分かるように高い低いではなく税金の使い道など国の政治運営のあり方をあらためて検証する必要があると言えるでしょう。