コロナ禍の影響で経済が立ち行かなくなっている中、観光支援策として実施中のGotoトラベルですが、感染拡大により年末年始の一定期間停止の措置を取らざるを得なくなりました。
元々、コロナが収束してから実施と謳っていたはずなのに政府が強硬に実施した経緯のある政策ですが、このGotoトラベルに関連することで国会議員の方が衝撃的な発言されました。
11月の消費者物価指数は前年同月比で−0.9ですが、総務省によるとGoToトラベルの影響を除くと−0.5。12月の消費者物価指数が11月なみの落ち込みならば、賃金改定率もマイナスとなり、来年度の年金は減額になる可能性がより高まってます pic.twitter.com/AA9HccXRtr
— 宮本徹 (@miyamototooru) December 18, 2020
Gotoトラベルが年金支給額が引き下げられる?なぜそんなことになるのかを検証していきたいと思います。
原因は物価スライド方式
日本共産党の宮本徹議員がツイッターで触れている消費者物価指数は、経済指標でよく使われるものですが、全国の世帯が購入する各種の財・サービスの価格の平均的な変動を測定するものです。すなわち、ある時点の世帯の消費構造を基準に、これと同等のものを購入した場合に必要な費用がどのように変動したかを指数値で表しているものです。
要するに国内のモノの値段の価格変動を表しているものですが、例を挙げればスーツを一万円で購入したとしましょう。翌年に質量ともに条件が同じスーツを購入したら7000円になりました。これにより前年同月比-30%の消費者物価指数を導き出すことができます。これらの品目ごとの指数を品目ごとにあるウエイトで加重平均することで総合指数などを算出したのが全体の消費者物価指数なのです。
消費者物価指数は以前こちらのブログ記事「45年前となぜこんなに違う!?国公立大学の授業料」で大学授業料の推移を表したときにも参考にしているのですが、このように消費者が何円で買い物をしたのかというデータを元にして、あらゆる経済対策の参考材料として用いられるものなのです。
これが年金支給と何が関係しているのかと言うと、年金支給額は物価の変動に応じて年金額を改定しています。これは年金額の実質価値を維持するためなのですが、現行の物価スライド制では、前年(1月から12月まで)の消費者物価指数の変動に応じ、翌年4月から自動的に年金額が改定されるのです。
今回のGotoトラベル実施により対象宿泊施設は定期料金より割引(実施割引は35%)になるので、単純計算で消費者物価指数が35%下落することになります。GOTOトラベルが消費者物価指数を押し下げ年金減額となることについて宮本議員が国会で厚生労働大臣に問いただすと、年金が減額される可能性を否定しませんでした。
ですからGotoトラベルが年金支給額が引き下げられるというのは本当なのです。国が補填する形で宿泊費や旅費といった一部のサービスを割引しても全体の物価は下がらないので、ギリギリで生活している年金受給者にとっては死活問題であると言えるでしょう。
GOTOを止めるか、または別の対策が急務
GOTOトラベルのような割引キャンペーンではこのような弊害が出ることが分かったので、この政策止めた方がいいですね。それよりも現金や商品券などの支給してくれた方が国民としてはありがたいですし、消費者物価指数を押し下げて年金が下がることもありません。観光業や旅行業にとって非常に恩恵がありますが、そもそもGotoはコロナが収束してからの政策だったはずです。収束すればGotoに頼らなくとも皆旅行に行きます。自粛を促しておきながらGotoってかなり矛盾しているのですから。
あるいは現行の物価スライド方式を一部見直すという意見も出ています。年金額の伸びの調整を行う期間(調整期間)を見直すとか、GOTO分のスライドを含めたスライド調整はしない凍結するなどの特例措置は一考の余地があるのではないでしょうか。
良かれと思って始めた景気刺激策なのに、私たちの生活が脅かされては本末転倒です。いずれにしてもこうした問題点が見つかったのですから国は解決すべく早急に対策に取り組んで貰いたいものですね。