以前の記事で、銀行ATMの有料化を題材にした記事を書いたことがありました。
両替でもお金が取られてしまう、銀行サービス有料化が止まらない!
振込や送金はともかく、両替までも有料化したことを受け、郵便局のゆうちょ銀行であれば「両替はただですよ!」と推奨したのですが、そのゆうちょ銀行までも両替が有料化することになったのです。
一部の信用金庫ではまだ無料のところはあるようですが、かつて国営金融機関であったゆうちょ銀行が有料化したことで今後すべての金融機関が両替有料化となりつつあります。たかが両替くらいでと思われるかも知れませんが、これが社会生活に後々大きな弊害をもたらすことになり、すでに起きているのです。そうした弊害の事例も併せて、両替有料化を検証していきたいと思います。
硬貨両替有料化で小銭使用が断られる!?
まずゆうちょ銀行の今回の改正について図で解説します。
実はゆうちょ銀行では日本国内の硬貨や紙幣の両替業務というものはありません。 ゆうちょ銀行には両替手数料規定がないからです。そのため銀行のように両替機というものは設置していません。規定になくても両替に応じていたのは断らずに無償サービスとして行っていただけなので他の銀行とは少し意味合いが違ってきます。
常識的な範囲の両替とは違い、硬貨を大量に持ち込む両替には応じることはありませんが、そのお金をゆうちょの通帳に入金するというやり方で皆さん利用されていると思われます。そのため上の図は両替手数料ではなく硬貨の枚数にともなう手数料となります。
入金のため窓口に持ち込んだ1円玉が100枚ある場合に手数料は550円となり、差し引きマイナス350円、ATMだと手数料が330円なのでマイナス230円、いずれにしても手元には残らず逆に数百円の手数料分支払って帰ることになる訳です。これでは両替なんて損すること絶対やらなくなりますよね。
その影響からか、現在このようにお賽銭や寄付など小銭が伴う行為について断れるケースが出てきました。
今更ながらに初詣的なヤツ。
— クラスメイトのあの子かもだけど「最低最悪の魔王?」なんて聞けない。 (@wiw0sg) January 19, 2022
神社、課金方法が制限されてる。もしかしてサービス終了が近いのかな。 pic.twitter.com/zHGlXpBGaO
お賽銭小銭投げ入れる行為が神社から批難される時代が来るとは・・駄菓子屋とかゲームセンターも紙幣を持たない子供が持ち込むのは硬貨ばかり、それと募金も小銭が絡んできますよね。
硬貨の取り扱いには、お札よりコストがかかります。重いから持ち運びも大変、輸送や管理費も相当かかるのです。ゆうちょ銀行の有料化により、硬貨はますます嫌われていくことになりそうですね。
銀行経営を悪化させたマイナス金利
金融機関の両替を含む硬貨取扱有料化の要因は、金融機関の経営状況の悪化の要因を上記にある過去記事のリンク先で示しています。しかしそれだけではなく日本銀行の政策にもあるのです。
2013年、日本銀行は日本経済の景気浮揚策として異次元の金融緩和を行いました。異次元緩和の目玉は大量の国債買い入れで2年程度を念頭に置いて2%物価目標の実現を目指しました。
しかし2%物価目標は2年では実現できず、新たな政策としてマイナス金利を実施しました。マイナス金利は民間の金融機関(銀行)が日銀に預けている預金金利をマイナスにすることです。銀行は貸業務により利益を上げるのですが、低金利が長く続いたことでその分金利が低くなり、銀行側の利益は少なくなります。これにより金融機関の経営を圧迫、おまけに日銀に預ける銀行の資金をマイナスになればおのずと厳しい経営になるのは当然ですね。
経営立直しに銀行はあらゆるサービスを有料化にし、これに伴い両替も有料化していくことになります。ゆうちょ銀行も民営化後の経営不振から銀行に追随する形で硬貨の取扱いで有料化を実施することとなりました。
日本銀行が実施した異次元の金融緩和は10年近くになります。それでも改善せず長く続けることで弊害は生じた形になりますが、それが両替有料化となって表れていると言えるでしょう。
硬貨は無くさない。大量の硬貨を活かすビジネス
銀行の硬貨締め出し政策により、少額硬貨は消滅のピンチを迎えてしまいました。今の世の中デジタル決済が進み、キャッシュレス化がますます進むことで、小銭を取り扱う取引業者は厳しい局面に立たされてしまいました。
それでも小銭を扱う業界間で生き残るためアイデアを駆使してこのようなサービスを始めたようです。
これいいよね。
— りん (@mre_rinrin) January 24, 2022
あたしも思った!!神社や小銭メインの駄菓子屋さんとかと協力して両替し合うの。銀行で小銭に両替するのも大変なので… https://t.co/EiceMQh8IY
小銭を活かすため神社や小銭を扱う業者が両替商となり、小銭の両替をビジネスとして活用しています。金融機関がアテにならないならば自分たちで工夫していくしかない。金融機関の両替よりも良心的、もしくは無料で両替できるようになれば大変助かります。自分たちで運用していくことでまだまだ硬貨の需要はありそうです。
両替分の金額を上回る手数料がかさむのは悪手であり見直してほしいところです。とは言え両替を有料化せざるを得ないこのご時世、次々と商品が値上げされて、サービスの有料化が進む生活の中でなるべく節約と工夫を強いられることになるのでしょうか。