パソコンで、スマホで、いつでもどこでもインターネットを楽しめる今の世の中、もはやインターネットの無い生活なんて考えられませんよね。今から20年ちょっと前にインターネットが普及してからパソコンの出荷台数が増えて、i-モード、スマートフォンとネットのできる媒体が増えてきます。インターネットが普及する以前(1980年代後半~1990年代中頃)は、パソコンとホストコンピュータを電話回線で接続し、電子メールや電子掲示板などを会員登録して利用できるパソコン通信というものがありました。

 

 

掲示板やチャットで会話をしたり、メールを送受信したりというのはインターネットと同じですが、サイトをサクサク読み込んだり、動画閲覧が当たり前にできる今のネット環境とは違い通信量が足りないので限られた作業しかできませんが、オンラインで他人と繋がりができるなんて当時からすれば画期的なサービスでした。

 

 

パソコン通信のサービス開始

1979年に、CompuServeがパソコン通信のサービス開始したのが始まりですが、当時はまだ電信電話公社が独占しており、民間企業が他人の通信を媒介することはできませんでした。その6年後の1985年(昭和60年)の4月1日。電電公社が民営化されNTTとなり、同時に電気通信事業法が施行され、それまで電電公社および国際電信電話(KDD)の独占事業とされていた通信事業に、新規参入が認められるようになりました。これにより、「パソコン通信」というデータ通信の事業形態が開放されることになります。

 

そして日本初の商用パソコン通信サービス「アスキーネット」がスタートしたのも、この年からとなります。

 

大手の商用パソコン通信サービス一覧です

● アスキーネット – 1985年5月に実験サービス開始。1987年3月に有料サービス「ACS」を開始。1997年にサービス終了。

● PC-VAN – 1986年4月に実験サービスを開始し、1987年4月に有料化。2001年にサービス終了。

● NIFTY-Serve – 1987年4月開局。徐々に掲示板的サービスに移行、2006年にサービス終了。

● 日経MIX – 1986年9月に実験サービスを開始し、1987年9月に有料化。1997年にサービス終了。

● ASAHIパソコンネット – 1988年11月開局。インターネットが普及した後もASAHIネットの会員限定でサービスを提供していたが、2019年5月末にサービスを終了。

● People – 1994年開局。1997年にフジテレビと業務提携。2001年にサービス終了。

他にもいくつかのプロバイダがありましたが、PC-VANとNifty-Serveは2大プロバイダと呼ばれていて全体の60%を占め、大手と呼ばれる上記プロバイダが90%のシェアを占めていました。

 

パソコン通信の接続方式の主流は、「ダイヤルアップ接続」で、一般の電話回線に接続されたアナログモデムが、プロバイダ指定のアクセスポイントに電話をかけて、サーバとパソコンが送受信するデータを音声信号で行う仕組みでした。

 

この方式は、今まで使っていた電話回線を、すぐにでもパソコン通信を使えるカンタン便利な方式でしたが、通信を行っている間は、常時電話を繋ぎっぱなしの状態だった為、誰かがこちらに電話を掛けても、ずっと通話中であり連絡が取れない事態に陥ってしまいました。だから家族間でこういう喧嘩もあったのです。


またパソコンとアナログ回線との接続にはモデムが必要でした。モデムは、アナログ信号とデジタル信号を相互に変換する機械のことです。インターネットに接続するADSLなどの電話回線はアナログ信号、パソコンのデータはデジタル信号となっていて、そのままでは通信することができません。そこでモデムによって信号を変換する必要があるのです。


通信速度の遅い時代に超高速でやり取りできるサービスがありました。それが OLT ですOLTとはオンライントークの略要はチャットのことです。パソ通のチャットは新しい発言が一番上に表示され、古い発言はどんどん下に流れていくスタイルです。サクサクと流れるようなチャットの快適なスピードはパソコン通信ユーザーを虜にし、電子メール、BBS(掲示板)と並ぶパソコン通信の人気サービスでした。

 

このパソコン通信全盛期にダントツで人気の高いパソコンだったのがNECが発売した「PC-9800シリーズ」です。同シリーズは1982年から2003年まで長きにわたって発売され、一時は国内で圧倒的なシェアを誇った国民的パソコンです。

 

 

16ビットCPUが採用されたPC-9800シリーズは主にビジネス用途で人気を博し、価格は非常に高額。当時、同シリーズを所持していたのは、親が仕事のために購入したというケースが殆どでした。

 

 

さらに16ビットパソコンとしての性能の高さ、シェアの高さもあいまって、PC-9800シリーズではさまざまなゲームソフトも発売されます。豊富で人気の高いゲームソフトがPC9800シリーズから発売されていたこともあり子供からの人気も高く、親をそそのかして購入させたということもあったようです。

 

 

 

インターネットとパソコン通信の違い

インターネットはインターネット接続業者(プロバイダ)の提供するインターネットの “入り口” まで電話をかければ、その先はインターネットの高速なネットワーク回線を利用することができ、何百キロ、何千キロ離れた場所のコンピュータに接続したとしても、それに要する通信費用はプロバイダまでの電話料金だけということになります。このようなことから、インターネットは距離・地域に縛られないネットワークだということが言えるわけです。

 

それに対してパソコン通信は、一つのホストコンピュータに多くの人が自分のコンピュータに接続して情報の受発信を行うものです。つまりプロバイダAに加入したときには、接続できる相手はAのホストコンピュータだけとなり、電子メールや電子掲示板の記憶場所はすべてAのコンピュータに存在するものに限定されます。また、原則として他のプロバイダとの接続はしていないので、プロバイダAに加入しても、プロバイダBの加入者との通信はできません。
 

 

そのため多数のパソコン通信ユーザーと接触するために複数のプロバイダと契約する人も多かったとか。会員制のクローズした世界であることが、インターネットとの最大の相違点と言えるでしょう。

 

また、パソコン通信では、電話回線などを通してホストに直接接続しなければならないため、電話料金がより高くなる遠隔地のコンピュータは、ユーザーにとって使いにくいものです。そのためパソコン通信は、その宿命として地域的な閉鎖性を持っていると言えます。



10万円、20万円の請求も珍しくなかった

パソコン通信を取り上げたレギュラー番組「パソコンサンデー」も放送されていました。

 

パソコン通信が主流だった時代は課金がすべて高額でした。PC-VANは月額2000円と固定料金だったのに対して、NIFTY=serveは従量課金で1分あたり10円の課金、しかも青天井で課金されるものでした。更にプロバイダまでの接続にかかる「電話代」も加算されることになるのです。

 

パソコン通信を利用した時間=電話代と置き換えれば分かりやすいと思います。当初は全国の知らない人と会話できるのが楽しくて、チャットにはまる人も多かったとか。ただしアクセスポイントが市外にしか無い場合は、遠距離通信となるので10万、20万円の電話代が請求も珍しくなかったそうです。

 

しかし深夜帯になれば幾分か通信料金も安くなるので、当然ながらパソコン通信は夜間の稼働が占めることになります。それでもパソコン通信利用者にとって毎月の請求額が重い負担となっていた訳です。しかし1995年NTT東日本が23時から朝8時まで一定料金でつなぎ放題の「テレホーダイ」がスタートしたことで、利用者負担が解消されることとなりパソコンユーザーが増えるきっかけともなりました。そしてインターネットの時代を迎えることになります。

 

インターネットのベーシック版とも言えるパソコン通信、こうやって歴史を辿ると非常に面白いし興味深いものです。パソコンの所有者が少ない時代ですから、パソ通ユーザー同士一体感があって、よくオフ会なども開催されていたそうです。パソコン本体も高く、月額費用も高く、操作の難易度が高く、パソコンに関する専門性を求められる、そうした先人たちの苦労を知ると大きく進化したネット社会となった今の世の中ほんとに便利になったと感じますね。

投稿者

yuuponshow

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