今年は衆議院総選挙の年になります。このままいけば恐らく任期満了での総選挙となりそうですが、前回任期満了で迎えたのは2009年の民主党躍進の政権交代時になります。果たして今回はいかなる結果になるのか?来る秋の総選挙の結果が今から気になります。
既存の政党に希望が見いだせず、自分が立候補して世の中を変えたいと思っておられる方もおられるでしょう。しかし、選挙に立候補するためにはお金がかかります。それも一般感覚では躊躇するほどの大金を用意しなければなりません。選挙でかかる供託金とはどういう理由で用意しなければならないのか?今秋に近づいてきた総選挙を前にこの問題を検証していきたいと思います。
供託金の仕組み
供託金とは、被選挙人(候補者)が公職選挙に出馬する際に納める金銭です。国や自治体が定める選挙管理委員会によって収める金額は違いますが、選挙において一定の得票数を獲得すれば、収めた供託金は候補者に返還される決まりになっています逆に一定の得票数に達しなければ収めた供託金は没収となります。
ここで日本の公職選挙における供託金とその没収基準点の一覧をご覧ください。
国政、地方と開きはありますが、まとまった資金は必要となるようです。選挙となれば供託金の他にも様々な選挙活動資金が掛かります。街宣の選挙カーや看板ポスターハガキ、選対事務所賃料、事務費、選挙スタッフへの補助負担など国政レベルでこれだけ揃えるだけでも6000万円はかかると言われています。
最近ではお金を掛けないインターネットだけでの選挙活動も可能ですが、年配者の投票率が高い日本においてネット活動だけで当選するのはかなり厳しいと言えるでしょう。
諸外国に比べて異常に高い日本の供託金
供託金は日本だけでなく、他国でも導入されていますが、とりわけ日本はその額が突出していてNo.1の高額供託金国になります。下のグラフをご覧いただければ一目瞭然です。
2017年緑の党 供託金廃止キャンペーンWebサイトより(URL)
日本に次いで韓国が高いですが、それでも半分以下です。先進主要国を見ると驚くほど安いですし、供託金の無いところもあります。
外国の政治活動を見ると非常に熱心さを感じます。それが高じて過激な抗議活動に発展することもありますが、それだけ国民の意識の高さの表れであると言えるでしょう。では供託金が突出して高い日本国民の意識はどうでしょうか?日々の生活に追われているからなのか、あまり政治に関心のない国民性であるように思えます。
世界的に例のない高額供託金日本の問題点
高額な供託金の問題点は立候補を抑制させてしまうことです。別の見方としては、政治家の志しなどまったく無い目立ちたがり屋や、宣伝PR目的の立候補者の乱立を防ぐ効果があると言われています。しかし、一方の見方をすると真剣に政治を志す人が立候補しなくなることにも繋がります。
先にグラフで示したみどりの党のURLページにも高額供託金についての問題点を指摘していますが、お金がないと立候補すらできないというのでは、金銭面から国民の被選挙権を制限し、政党の政治活動の自由を制限させるる反民主主義的なものであり、憲法違反に抵触するとの指摘もあります。
候補者の乱立については、あらかじめ署名を一定数以上集めた候補者が立候補できる制度を設けている国もあるので、そのような法改正で解決できるのではないでしょうか?議会制民主主義を守る立場からも、早急な見直しするべきだと思います。
それに高額供託金が横行することで、組織力、資金力のある候補者が有利になります。例えば親の代から選挙区を引き継いだ世襲と呼ばれる候補者などが当てはまります。政治家である親の後ろ姿を見て、自分も政治家になるんだ!と強く高い志しを持つことは結構ですが、世襲については色々問題が指摘されているのです。
少なくとも言えることは同じ選挙区で対立する候補者に比べて大変優位になることです。とりわけお金に関しては自分が身銭を切ることもなく、親から受け継ぐだけですから大変恵まれてますよね。そして安定した地盤と政治家の親の知名度、巨大政党からのバックアップもあり新参者に付け入る隙を与えません。
安倍内閣、6割が世襲議員の異常さ
— 無党派党 代表「政党問わず世襲議員は禁止に!」「円安と消費税が日本を滅ぼす!」 (@lllpuplll) June 16, 2019
「つまり、貧しい人を最初から排除する国の思想が93年たっても変わらず、シングルマザー、派遣労働者、非正規労働者、零細事業者たちを代表するような人は立候補すらままならない」(ジャーナリスト・林克明)https://t.co/Ba2Ea7iR4T
前政権の安倍内閣の閣僚は6割が世襲だったそうです。国民のための政治をしてくれれば良いのですが、これまでの政治を見るとそうは見えません。生まれてから大金をあっさり用意できる環境にある議員である親の恩恵を受けて、庶民感覚がズレたまま成長して、親から地位を受け継いで、一般庶民と感覚がズレてしまうのは当然でしょう。
国会議員の給料、こんなに必要ですか。怒 pic.twitter.com/FVYVXXq5KL
— 無党派党 代表「政党問わず世襲議員は禁止に!」「円安と消費税が日本を滅ぼす!」 (@lllpuplll) December 10, 2020
親がこれだけの報酬受取っていれば自分もなりたくなるでしょう。それに加えてプライドも高いでしょうし、利権や権威欲は旺盛、議員貴族の特権はそれだけ魅力なのです。
こうした日本特有のいびつな選挙事情が、近年の経済衰退に繋がっているのかも知れません。世界的に例のない高額供託金にも一因があると言えるのではないでしょう。議員報酬の見直しもですが、供託金は諸外国の基準に合わせるべきであると考えます。