WBCの野球で日本の優勝で歓喜に沸いたスポーツ界は、ボクシングでも世界を相手に日本人選手の活躍で沸き返っています。

 

 

井上尚哉や村田諒太、亀田三兄弟など、世界王者を戴冠する日本人選手が続出、そして先日には兄弟同日に世界チャンピオンを獲得するという偉業を達成した重岡兄弟など話題に事欠かきません。日本人の世界王者ラッシュと言わんばかりにここ最近増加して日本ボクシング界最高潮の時を迎えているのかも知れません。こうした背景には世界タイトルが2(WBA・WBC)から4(WBA・WBC・IBF・WBO)に増えたことも挙げられますが、日本人選手の前に立ちはだかっていたあの国の選手が消えてしまったこともあると思います。

 

 

かつての韓国はボクシング王国で、日本よりも世界王者を輩出する割合は高かったのです。80年代から90年代にかけて日本人選手が世界戦でなかな勝てなかった頃などは韓国ボクサーが数多く世界王座に君臨していたものです。世界王者として、チャレンジャーとして韓国人ボクサーは日本人ボクサーの大きな壁として立ちはだかっていたのです。そんな韓国ボクシング界ですが2007年の池 仁珍(チ・インジン)がWBC世界フェザー級王座を失って以来16年も世界チャンピオンが不在と日本とは対極にあります。今回はかつての韓国ボクシング界の盛況と凋落の歴史について語っていきたいと思います。

 

日本に立ちはだかる韓国の壁

 

 

韓国の世界チャンピオンは1966年のWBA世界Jr.ミドル級の金 基洙(キム・ギスー)です。日本初の世界王者は1952年の白井義男ですから日本の方が14年早く世界王者を輩出していますので日本が韓国に対してボクシングにおいては先進国であったと言えます。

 

 

日本人と韓国人との最初の世界戦は1975(昭和50)年の輪島 功一 VS 柳 再斗(ユ・ヂェドゥ)でした。この試合リアルでは見てないのですが、王者輪島が防衛戦でKO敗けされて、リターンマッチでKO勝ちして王座奪還するという日本人にはたまらない王座奪還劇であり、今でも語り継がれる名勝負です。

 

 

当時の日本と韓国は国交正常化して10年あまり経過していましたが、韓国は軍事政権の色合いが濃く、民主化が浸透していた日本とは対極にあり国民生活は貧しいものでした。比較的生活が豊かになっていた日本に対し敵意をあらわにし、日本人相手のスポーツ競技には国民総力を挙げて応援していました。その中でも倒し倒されるかの格闘競技であるボクシングは最たるものでした。

 

 

韓国ではテクニックよりも根性論で指導が行われていたため、とにかく我慢強い選手が多くいました。パンチ力もテクニックもなくとも、打たれても打たれても前に出る選手が多く、根競べのような試合が多く見られました。コリアンファイターと形容されるこのスタイルで無尽蔵のスタミナと常識外のタフネスを持つ選手が多く、勝利への執念が強かったので、迫力負けする日本人選手が数多くいました。

韓国ボクサーの金銭面の待遇

 

 

ボクシングは拳で殴り合う競技なので、貧しくても気軽にはじめられるメリットがあります。かつての日本が戦争の敗戦からの復興する過程でボクシング人気は高まっていきました。テレビスポーツ中継でボクシングはドル箱コンテンツで、日本人の世界チャンピオンは一試合あたりのファイトマネーで家一軒分買えるほどのファイトマネーが得られたそうです。世界戦は視聴率も良く必ずテレビ中継が付いてましたし、スポンサーも大盤振る舞いで今では考えられませんが物価が安い時代なので夢がありました。

 

 

一方の韓国も日本に負けず劣らずボクシング人気は高まっていくことになります。世界戦はテレビで中継される日本と同様、世界チャンピオンになれば多額のファイトマネーが手に入れることができます。ちなみに韓国で最も稼いだといわれるのがボクサーはWBC世界Jr.フライ級王者の張 正九(チャン・ジョング)WBA世界Jr.フライ級王者の柳 明佑(ユウ・ミョンウ)です。二人の全盛期は1980年代から90年代で、張が15回、柳が17回世界タイトルの連続防衛している世界でも名だたる名ボクサーです。日本では具志堅用高の13回ですから韓国ボクシングのレベルの高さがお分かりいただけると思います。

 

張 正九

柳 明佑

 

二人が活躍していた頃の当時のファイトマネーは1000万円と言われており、これが韓国ボクサーの上限額とされていました。15回以上の防衛をして計一億数千万円。国民的英雄とまで崇められた二人なのでスポンサー契約も最高レベルの収入があり、一生困らないくらい稼いでいたのです。

 

 

また、韓国はアマチュアボクシングも強くこれまでオリンピックで3個の金メダルを含めて、計20個のメダルを獲得しています。日本は10個も獲得していないので倍以上メダルを獲得していることになるのですが、日本にはない報酬基準が影響しているとも言われています。

 

参照:韓国スポーツの強さの源 死ぬまでもらえる「競技力向上研究年金」とは何?

 

韓国のスポーツ選手はオリンピックでメダルを獲得すると韓国政府から報奨金が支給されます。

・金メダル…約630万円(6,300万ウォン)
・銀メダル…約350万円(3,500万ウォン)
・銅メダル…約250万円(2,500万ウォン)

 

報奨金は日本でも実施されていますが、それとは別に「競技力向上研究年金」という名目の永続年金を支給されるのです。

・金メダル:毎月…約10万円(100万ウォン) 
・銀メダル:毎月…約7.5万円(75万ウォン) 
・銅メダル:毎月…約5.25万円(52万5千ウォン) 

 

更に、選手の所属企業やスポンサー企業からも報奨金が入るので、オリンピックでのメダル獲得は栄誉や英雄に見合った多額の収入が入ることになります。そして金メダル獲得すると韓国男性に義務付けられている兵役免除の特典があるのです。若い頃に数年にわたって軍に拘束されることを考えれば自由を得られることは韓国の男性にとって夢のような待遇なのです。

 

 

この待遇を受けたアマチュアボクサーは3人で、うち1人を除いてあとはアマチュアで競技生活を終えています。金メダルレベルであればプロでも活躍もできたでしょうが、金メダル獲った時点で安定した収入が入るのでプロで稼ぐ気もなくなるのでしょうかね。このように金銭面の優遇策のある韓国アマチュアボクシングは、オリンピックのみならず世界選手権でも活躍が目立ち、アジア圏においてはヘビー級などの重量級を除く階級はほぼ無双状態でした。

 

 

プロでもOPBF東洋太平洋タイトルを韓国勢がほぼ占める時代があり、日本から東洋を目指す日本のホープにとって韓国選手は大きな壁となり立ちはだかりました。ニンジン効果と国民性と言うべきか日本に対して異常なまでに対抗心むき出しで戦ってきますからボクシングにおいては韓国に対して日本は劣勢を強いられていたのです。ハングリー精神が相当あるし、それが試合にも出ていました。絶対に引かない負けん気が強く相対してきたので日本人選手にとっては脅威だったでしょう。

 

衰退から復活への道はあるのか!?

 

 

プロ・アマ問わず韓国ボクシング界は隆盛を極めることとなりますが、その一方で韓国ボクシング界をめぐる不祥事が大きな影を落とすことになります。

 

 

1984年9月7日韓国・井州でBF世界フライ級タイトルマッチ王者の権順天(クォン・スンチョン)VS挑戦者のアルベルト・カストロというコロンビアの選手の試合が行われたのですが、試合後、挑戦者が偽物だったことが明らかになりました。この偽物さん一応ボクサーなのですが、それまでの戦績が2勝4敗と世界戦のリングにあげてはいけないレベルだったのです。

 

 

それでも最終12Rまでもったのは当時発足して間もないIBFタイトル戦の選手層の薄さが影響したと思われます。今でこそIBFはWBAやWBCに並ぶ主要タイトルに位置付けられていますが、新興団体IBFに加盟する国が少なかったのです。当時韓国はこのIBFにいち早く加盟しており、軽量級の世界タイトルをほぼ独占状態していましたが、選手層が薄ければそうなるのは当然であると言えるでしょう。

 

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その替え玉事件の真相は本来の挑戦者が対戦を断られたことで、興業プロモーターが全くの別人を名前を偽って呼び寄せたということでプロモーターはライセンスの永久剥奪になりました。替え玉になった挑戦者は詐欺容疑で逮捕されることとなり、この試合は無効試合となりました。韓国大統領が権の勝利後、祝福の電話をするなど歓喜に沸いた試合だっただけに韓国国民の怒りは凄まじく、批判が殺到し韓国ボクシング界に大きな禍根を残すこととなりました。

 

 

IBFへの早すぎた加盟、世界戦での替え玉事件が韓国ボクシングの衰退の要因と言われていますが、ボクシングは本来殴って殴られて、命を削る思いで真剣勝負する格闘技です。試合で命を落とすボクサーの事例も珍しくありません。韓国にとって国技とまで言わしめたボクシングも、判定を巡る不可解なジャッジなど不祥事が相次いだことでスポンサーが離れてしまい思ったより稼ぐことができず、スポーツの多様化で競技として選ぶ若者が少なくなるなど、悪い要素が重なったことが衰退に繋がったようです。

 

 

今回は韓国ボクシングの栄光と衰退の諸事情について書いていきました。韓国勢が幅を利かせていたときは憎っくき存在だったのに、いなくなると寂しい思いです。振り返ってみれば日本と韓国選手との名勝負は数えきれないくらいありましたから、あの時代を知っているからこそ物足りなさを感じてしまうのです。日本はまだボクシング人気は高いですから、日本に触発される形で韓国ボクシングが復活してほしいと思います。かつてのにっくき存在感がいてこそボクシング界ももっと盛り上がるでしょうね。

 

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投稿者

yuuponshow

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