7月31日、日本銀行・植田和男総裁が、日銀政策決定会合において、それまでゼロで据え置かれていた我が国の政策金利が0.25%に引き上げると発表しました。2008年12月以来、実に16年ぶりの水準となります。
日銀、追加利上げを決定 植田総裁が会見 https://t.co/5mNnqA2dwk (Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE) #thepage_jp pic.twitter.com/RRJOEuIToi
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この利上げについては賛否両論、というかむしろ否定の声が多数ありました。政策金利を引き上げるということはインフレ抑制つまり景気を冷やすことですから。とは言え、16年も貯金の金利が付かない期間が続いたというのはこれまでの日本には無かったし、異常でした。1とか2とか金利が付くのが当たり前なのです。10%以上の金利のある国もありますが、それはさすがに大丈夫か?と懸念しますが、日本は僅か0.25%です。僅か0.25に引き上げて慌てふためく方が異常に映ります。ということで普通の経済社会に戻った日本の貯金金利がどうなるのか興味深く検証していきたいと思います。
各金融機関の貯金金利
7月31日決まった政策金利引上げですが、早速各金融機関が利上げに伴い、貯金金利の変更を発表しました。
主要銀行金利は軒並み金利を引き上げていますが、まず普通預金についてはいずれも5倍程度の引き上げとなりました。一方の定期預金は・・実は変わっていません。が、恐らく今後引き上げてくると思われます。長期保有する定期預金は短期に比べて引上げ開始時期が遅くなる傾向になります。もっとも定期預金も3月のマイナス金利解除時には金利を3倍くらい引き上げていますから、今後もそのくらいになる可能性はあります。
ゆうちょ銀の貯金金利、9月に0.1%に引き上げ 5カ月で100倍https://t.co/QZTTYFrfEv
— 朝日新聞デジタル (@asahicom) August 9, 2024
ゆうちょ銀は4月8日にも日銀のマイナス金利解除などを受け、金利を0.001%からいまの0.02%に上げている。
今回の引き上げで金利は0.001%の100倍になる。
3月のマイナス金利解除と今回の0.25%の金利引上げで今年2度の金利引上げが行われたことで貯金金利が100倍になりました。それでもいままでがゼロのような酷く低い金利でしたので、100倍でも1%には届きません。
利率が1%あれば44000円ですよ。これだけあれば美味しもの食べたり、どこか遊びにいけるんだよね。金利上げてほしい😢
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かつての5~6%などとは言いませんが、せめて1%以上の金利のある社会になってほしいですね(^_^;)
日本とは比べ物にならない世界の高金利
日本の金利が100倍になったところで一年預けて0.1%。金利生活などほど遠いものですが、世界を見渡してみると高金利の国がたくさんあります。ここで主要国金利の一覧をご紹介します。
主要国が軒並み4から5%という高い水準で、新興国を見るとトルコのように50%という驚愕レベルの高金利となっていて、世界各国の金利の違いが如実にあらわれています。トルコは経済事情がちょっと違うのですが、日本以外の国は、2年前のロシアによるウクライナ侵攻とコロナ収束と共にに訪れた深刻なインフレに見舞われました。
ゼロ金利を頑なに続ける日本と違い、インフレ対応に柔軟に対応できる世界各国は政策金利を続々引き上げることとなりました。それにより一定の成果を出した国から高く設定した金利を徐々に引き下げています。それでも日本のような低金利の国はなく、日本との金利差は歴然としています。
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これが日本円が暴落した、いわゆる一ドル160円もの超円安となった最大原因と言われています。金利差があれば、高い方の国の通貨が買われる。当然日本は売られるという図式となる訳です。日本はゼロ金利を続けていましたが、これは10年以上も続けた異次元の金融緩和の弊害によるものです。
金融緩和とは日本銀行が市場から国債を買いとり、お金の供給量を増やして経済を活発化させ、景気回復を図る政策なのですが、2,3年くらいの時限的措置ならともかく、10年以上も続けていたら成長性の低い企業の延命にもつながるし、新陳代謝が遅れ、経済の活性化が妨げられることになります。この状態で国の政策金利を上げると日銀が市場で買い漁った国債金利も上昇するので、金利払いだけで相当な含み損を抱えてしまうことになり僅かでも金利を引き上げる体力が失われてしまったのです。
マイナス金利やゼロ金利を続けても日本経済は回復せず停滞したまま、一方で金利の低さが元で円安になったことで外国人投資家が割安な日本株を買い漁って、日経平均が4万円を超えるという株高をもたらす結果となりました。株式市場はバブル期並みの景況感ですが、実体経済は最底辺という歪な構造をもたらしたのです。結果からして異次元の金融緩和による弊害が起きてしまったということですね。
金利はこれから上がっていくのか?
そうした異次元緩和策からようやく離脱して、金利のある社会となった日本ですが、果たしてこれから更に金利は引き上げられていくのでしょうか?バブル期のような5%超のような高金利社会は訪れるのか?私たちとしては高金利は魅力ですが、一方で住宅ローンの上昇という懸念もあります。そして日本を除く世界各国が深刻なインフレから脱して金利を引き下げていくのに、日本だけ引き上げていくと今度は極端な円高になってしまい景気悪化を招くことになります。
デフレ不況が招いた円高と異次元の金融緩和が招いた円安によって振り回される日本経済ですが、かつての日本、とりわけ昭和時代は金利は平均3から4%という時代が当たり前でした。
昭和56年5月に預け入れた定期貯金証書です。私の小学校の頃のもので、たぶんお年玉とかまとめて預けたもので額は大したことありませんが、当時の金利は4.2%という今では考えられない高金利でした。おまけに非課税でしたから当時の預金者はたいへん恵まれていたのですね(・∀・) pic.twitter.com/QX0VBvrPGg
— お金のストーリー (@okanestory) August 13, 2024
私の子供の頃の定期貯金証書ですが、預金金利が4.2%と今では考えられない高金利です。高度経済成長期を除けばオイルショックとかの影響もあり決して景気が良いとは言えませんでした。当時はスマホもネットないしコンビニはあったけど今ほど機能性がなかったし、食べ物だって安売りしていませんでした。でも周囲からの助け合いもあり将来に悲観することなかった、必ず良くなるという希望で満ち溢れていたのですよね。
経済学上、金利が高いときは、物価が上昇し続けるインフレーション(略してインフレ)の状態です。特定の分野のモノの価格が(急)上昇するのを抑えるために国は政策金利を上げてインフレを抑えなければなりません。
今の日本がこうした状況であるとは言えません。むしろ景気を上げるために景気刺激策を取らなければなりません。金利を上げるのは真逆の政策であり、今やるべきではないかも知れません。しかし16年も長らく続いた金利の無い時代が正常な訳がありません。マイルドなインフレが続いた昭和の頃ならば金利が上がって当然ですが、今金利を上げる理由はありません。しいて挙げれば超円安に伴う物価高の抑制として諸外国との金利差を縮めるための措置です。
今回の利上げは本来の目的とは違うかも知れませんが、円安の是正として金利を上げるのも止む無しだと思います。僅か0。25%の利上げで一ドル160円という円安が140円と20円も円高になったのですから効果てき面でした。アメリカが5%超もの高金利を一年以上も継続している以上、日本も金利差を埋める策を講じるのは止む無しだと思います。
少子高齢化が進み、「昭和の頃とは違い金利を上げにくい環境になっているかも知れませんが、僅かながらでも貯金金利が付くと嬉しいものです。希望ですが、せめて1%くらいは金利上げてもらいたいですね。
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